ブックレビュー:Linux-DB システム構築/運用入門
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2009/10/16 金曜日 matsui Posted in ブックレビュー No Comments »

今回はケータイとは直接関係ありませんが、先日購入したDBについての書籍のレビューを書きたいと思います。

ケータイと関係ないとはいっても、全くそういうわけでもなく、ケータイサイトはPCよりもアクセスが集中するケースも多く、ページ遷移も頻繁で、その結果DBの負荷も大きくなりがちです。
パフォーマンスを意識したサイト作成は、必須の技術とも言えるでしょう。

今回ご紹介するのは、そのような技術を身に付けたい方にとってとても役立つ一冊です。

 

→ Amazon Linux-DB システム構築/運用入門 [amazon.co.jp]

 

結論から言うと、本書はかなりの良書だと思います。

MySQLのDB構築・設計に関わる方であれば、絶対に目を通しておいて損の無いといえる内容となっています。

Amazonでは評価の★がついていませんでしたので、実際に本屋で中身を見てみてから購入したのですが、これは買ってよかったです。
(後ほどamazonの方にもレビューを書いておきたいと思います)

 

目次は次のようになっています。

  • Chapter 01 論理ボリュームマネージャ(LVM)を活用する
  • Chapter 02 Heartbeatによるクラスタ環境の構築
  • Chapter 03 DRBDによるネットワークミラーリング(前編)
  • Chapter 04 DRBDによるネットワークミラーリング(後編)
  • Chapter 05 高可用サーバーの構築
  • Chapter 06 現場で使われる高可用構成
  • Chapter 07 DBサーバーのパフォーマンス概論
  • Chapter 08 インデックスのチューニング(前編)
  • Chapter 09 インデックスのチューニング(後編)
  • Chapter 10 DBサーバーのハードウェア選定
  • Chapter 11 SSDの効果とアプリケーションへの影響
  • Chapter 12 メモリ管理とスワップ領域の制御
  • Chapter 13 ファイルシステムとI/Oスケジューラ
  • Chapter 14 Linux-DBサーバーにおける負荷テストの心得
  • コラム

※詳細な目次はこちらに記載されています。
→ SE shop.com Linux-DB システム構築/運用入門 [seshop.com]

 

本書は、DBマガジンの連載「Linux-DB システム構築入門」が、今年の9月に書籍としてまとめられたものです。

Linux-DBシステムという題名になっていますが、特にLinuxに特化した内容というわけではありません。
BSDやSolarisなどにも十分に応用可能です。
また、DBとやや抽象的な題名にもなっていますが、ほぼMySQLをターゲットに書かれていると思って間違いありません。

 

内容は、どの章もかなり深いところまで突っ込まれており、現場のノウハウが詰まっています。

特に2章に渡って書かれたインデックスのチューニングについては、SQLを使うプログラマにとって必見です。

絞込みやソートなどの際に、どのようなメカニズムでインデックスが利用されるかといった点にポイントがおかれて書かれており、内部構造の理解につながります。

自分がDBについてまだまだ理解していなかったことを思い知らされる内容でした。

 

Heartbeatを使ったクラスタの構築などの高可用性に関する章も充実してますので(むしろそちらの内容がメイン?)、インフラ屋さんにとっても役に立つと思います。

また、SSDを使った場合の効果など、新し目の話題も載っているのが嬉しいですね。

 

このように入門という名前は付いているものの、かなり深い内容で満足度は高いと思います。
私は今やっている仕事で負荷に悩まされていたため、大変ためになりました。
これでパフォーマンスアップは確実です(笑)

全体として偏った内容の記述もなく、顧客の求める高可用性やパフォーマンスをいかに実現するかについて、バランスよく解説されています。
(著者は普段はMySQLのコンサルティング業務に就かれているとの記述があり、納得しました)

プログラマーの方もサーバ管理者の方も、データベースを触るお仕事につかれている方は、読んでおいて損の無い一冊だと思います。

 

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ブックレビュー:携帯サイト構築バイブル
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2009/9/30 水曜日 matsui Posted in ブックレビュー No Comments »

本屋で見かけて買ってみましたので、レビューを書かせていただきます。

→ Amazon 携帯サイト構築バイブル [docomo/au/SoftBank/WILLCOM対応] [amazon.co.jp]

 

本書「携帯サイト構築バイブル」は、翔泳社から今月(2009年9月)に発売された携帯サイト開発のノウハウを紹介した技術書です。
著者はユーザビリティ調査などでおなじみの株式会社IMJモバイルさんです。

最初、本の中身を見るまでは、ケータイ本の中でも有数の良書「携帯端末用Web制作バイブル」の続編かと思い込んでいたのですが、本のタイトルも装丁も似ているのにも関わらず、全然違う中身でした。

携帯端末用Web制作バイブルでは、各キャリアのデータや仕様についてを淡々と解説している本でしたが、この本では架空の案件「会員制Flashコンテンツダウンロードサイト」をもとに、実際に現場に近い形で、開発を進めていく流れになっています。

 

目次はこちらのページに記載されています。(文字数が多いためここでは転載しません)

→ SEShop.com 携帯サイト構築バイブル

 

ご覧の通り、かなり盛りだくさんな内容になっており、ページ構成も小さい文字がびっしりという感じで読み応えがあります。

Linux(Debian)のインストールから、ApacheやMySQLの説明まで触れられているのは、さすがにやりすぎではないかという気がしますが、架空の案件を受注したところから納品までの流れを追うという形をとっているために、このような形になっているのだと思います。

 

ケータイに関する内容に関しても、かなり細かく章立てされて、あらゆることが網羅されている感じです。

ところが内容をよく読んでみると、微妙に情報が足りないと感じるところもあります。
例えば空メール送信による会員登録の部分を読むと、DNSのA/MXレコードやSPFなどに関する説明はあるのですが、肝心の受信方法についてこれではよくわからないのではないでしょうか。

びっしりと細かい説明はあるのですが、具体的にこれらの情報を使いこなすのには、それなりの前提知識とスキルとが求められると思いました。

 

しかしながら、これらケータイに関する細かい知識が、一冊の本の形でここまで集約された書籍は貴重だと思います。

特にswfmillによるケータイFlashの合成など、他の書籍ではあまり見ることができないような内容も多いです。

一度に読みきるのは少しハードですので、空いた時間で少しずつ読み進めたり、気になる箇所を調べたりして、手元に置いておくという使い方がよいかもしれません。

ケータイ開発に関するあらゆる知識を身に着けたいと思っている方にはお奨めの一冊といえると思います。

 

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ブックレビュー:携帯Webコレクション モバイルデザインアーカイブの本。
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2009/9/8 火曜日 matsui Posted in デザイン, ブックレビュー 1 Comment »

著者の津田様からご献本いただきました。ありがとうございます。
レビューを書かせていただきたいと思います。

 

→ Amazon モバイルデザインアーカイブの本。―携帯Webコレクション [amazon.co.jp]

 

以前ご紹介させていただいたサイト「モバイルデザインアーカイブ」が書籍になったとのことです。

→ モバイルデザインアーカイブ トップ [mobiledesignarchive.jp]

→ ke-tai.org ケータイサイトのデザインをジャンル別にまとめて紹介している「モバイルデザインアーカイブ」 [ke-tai.org]

 

サイトの内容と同じように、本書はケータイサイトのキャプチャ集という形をとっています。

内容としては、ケータイサイトのキャプチャ画像数枚、およびデザインに関する論評・解説が大量に記載されています。

その数、なんと149サイトです。これだけの数のサイトに掲載許可をとるのは大変だったことと思います。お疲れ様でした。

 

本書の目的としては、サイトのデザイン作成を行う場合に、参考にしたいデザインのサイトを探す、といった使い方が想定されているのだと思われます。
掲載サイトは「プロモーション」「携帯・IT」などのカテゴリに分類されているのも親切です。
ケータイサイトの要件ヒアリングの際などに、この本を1冊持って行くと、お客さんのイメージを拾い上げやすいかもしれませんね。

 

また、私はプログラマのため、デザイン自体は作成しないのですが、ボタンやメニューなどの部品を作成するケースは多くあります。
本書を見れば部品レベルでも参考にできるデザインがピックアップできるので便利です。

欲を言えば、紹介したデザインを再現するためのHTML/CSSなどを解説してくれると非常に助かるのですが、さすがにそれは欲張りすぎかもしれないですね。

 

値段も1,680円と技術書などに比べると安価なのも嬉しいですね。
ケータイサイトに関わる人であれば持っていて損のない1冊だと思います。

 

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ブックレビュー: Flash Liteで作る携帯コンテンツ実践教科書
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2009/7/27 月曜日 matsui Posted in Flash, ブックレビュー 2 Comments »

著者の岡田さんからご献本いただきました。ありがとうございます。

早速読ませていただきましたので、レビューを書かせていただきたいと思います。

 

→ Amazon Flash Liteで作る携帯コンテンツ実践教科書 [amazon.co.jp]

 

本書「Flash Liteで作る携帯コンテンツ実践教科書」は、ケータイコンテンツで使うFlashLiteの制作を、実践的な実例を交えながら紹介しているチュートリアル集的な本です。

著者は、東條 雅樹氏、岡田 昇三氏、よしだ ゆたか氏、3名の共著となっているようです。

 

目次は次のようになっています。

Introduction 携帯Flashの作り方の基本
Chapter 1 待ち受けスライドショーを作る~基本的なコンテンツの制作
Chapter 2 デジタル時計を作る
Chapter 3 アナログ時計を作る
Chapter 4 おみくじを作る
Chapter 5 サウンド付きまるばつコンテンツを作る
Chapter 6 携帯サイト(縦長メニュー)を作る
Chapter 7 もぐらたたきゲームを作る
Chapter 8 神経衰弱を作る
Chapter 9 携帯コンテンツの動作のテスト
Chapter 10 キャリアごとのFlashLiteの仕様
Chapter 11 制作効率化のTipsとトラブルシューティング

 

ご覧の通りサンプルとその制作方法の説明が盛りだくさんで、理論よりも実際に作りながら学べる実線的なつくりになっています。

その分、Introductionは用意されているものの、説明は割と短めですし、Flashやケータイの基礎については、ある程度理解している人を対象としているようですので、必要に応じて他の書籍とあわせて読み進めるとよいでしょう。

おそらく「PCでFlash制作を行ったことがあるが、ケータイ用FlashLiteの勝手がわからない」という読者がメインターゲットなのではないでしょうか。

 

Chapter1~9の多数のサンプル解説やスクリプティング例も、もちろん有用なのですが、特に便利だなと感じたのはChapter 10以降です。

「Chapter 10 キャリアごとのFlashLiteの仕様」では、各キャリアとFlashLiteバージョンごとの仕様が一覧表となって掲載されています。
FlashLiteの仕様は、あちこちにのサイトに分散されていたり、抜けている情報があったりで、このようにまとまった情報を手に入れるのは大変です。
このように数ページに凝縮された情報を見ることができるのはうれしいですね。

 

次の「Chapter 11 制作効率化のTipsとトラブルシューティング」は、さらに嬉しい内容となっています。
ケータイ向けのFlashLiteをはじめて作成した場合に陥りやすいワナや、ぶつかりがちな壁、便利なTipsやコツが数ページにわたってビッシリとまとめられています。
おそらくPCからケータイに入ってきた制作者が一番知りたい情報はコレなのではないでしょうか。

 

共著ということもあるせいか、サンプルの解説に若干重複したような内容があるものの、実例を通してケータイ向けFlashを学びたいという方にはぴったりの本だと思います。
FlashLiteを解説した本はまだあまり数がありませんし、これは貴重な一冊となりそうです。

 

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ブックレビュー: PHP×携帯サイト 実践アプリケーション集
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2009/7/6 月曜日 matsui Posted in ブックレビュー No Comments »

マイネット・ジャパンの平島様からご献本いただきました。ありがとうございます。

書籍が届いてから少し遅くなってしまいましたが、レビューを書かせていただきたいと思います。

 

→ Amazon PHP×携帯サイト 実践アプリケーション集 [amazon.co.jp]

 

本書「PHP×携帯サイト 実践アプリケーション集」は、その名の通りすぐ使えるケータイサイト用プログラムがまるごと掲載された、CD-ROM付きのサンプルコード集です。

著者はケータイサイト作成に多くの実績がある「株式会社マイネット・ジャパン」の平島氏・伊藤氏・中本氏、3名の共著という形になっているようです。

表紙に見覚えがあるなと思った方も多いと思いますが、昨年出たmemokamiさんの「PHP×携帯サイト デベロッパーズバイブル」のシリーズ本という位置づけなのだと思います。

 

内容は次の通りです。

Chapter 1 PHP携帯サイトへの誘い
Chapter 2 ニュースサイトRSS表示アプリケーション
Chapter 3 簡易BBSアプリの開発
Chapter 4 絵文字対応BBSの開発
Chapter 5 携帯ブログの開発
Chapter 6 写メールアルバムの開発
Chapter 7 携帯電話にメールを送る
Chapter 8 GPSとWebサービスのマッシュアップ
Chapter 9 携帯SNSアプリの作成

 

冒頭にケータイサイトの基礎的なことが書いてあるものの、それはごく僅かで、基本的にはサンプルコードの掲載とその解説に特化されています。

これ1冊でケータイサイトの作成方法を理解しようという本ではなく、他の本(例えば前述のmemokamiさんの本など)とあわせて利用するとよいのではないでしょうか。

 

収録サンプルは豊富で、そのまま業務に使えるくらいの規模となっています。
特にメール受信のサンプルがかかれた写メールアルバムなどは、よく使う機能の割には、ネット上にもあまりサンプルが落ちていない部分のため、重宝するのではないでしょうか。

サンプルはただ羅列されているのではなく、シンプルなアプリから、徐々に高度なものを解説していくというステップバイステップ方式で書かれており、アプリケーション集という名前から想像される内容よりはずっと親切です。

コード解説の端々で細かいケータイ向けテクニックも語られており、「他社さんではこうやって作っているんだな」と、私にとっては興味深いところでした。

 

ケータイプログラミングの経験が無い方にとっては、実際にすぐ動くプログラムがあるというのはもちろん嬉しいことだと思いますし、すでにケータイ開発の経験がある方にとっても、他社のノウハウが見え、参考にできる資産が豊富にあるというのは重要なことだと思います。

たった2800円でこれだけのものが手に入るというのですから、これは買いの一冊と考えて間違いないのではないでしょうか。

 

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